[№52]東日本橋やげん堀商店会
中央区の北東端、地下鉄都営浅草線の東日本橋駅と神田川に架かる浅草橋、隅田川に架かる両国橋などに囲まれた東日本橋二丁目を範囲とする商店会です。「やげん堀(薬研堀)」とは、江戸時代前期にこの地にあった矢の倉という米倉から隅田川の間に開削されたV字状の運河の名が今に残されたものです。堀は元禄年間に矢の倉の移転とともに埋められたとのことで、今はその姿を想像もできません。
薬草などをひいて粉砕する製薬道具が「薬研」で、V字状の窪みの上で円盤状のローラーを上下させて使うものですが、薬研堀の名はこのV字形になぞらえたものだそうです。
かつて堀があったと思われるあたりに薬研堀不動院があり、ビルの谷間に埋もれるようでありながらその独特な形状が目を引きます。天正年間からの由緒があるそうで、現在は川崎大師の別院でもあります。店舗は町内各所に点在していますが、不動院前の道路や地下鉄駅前の集積度がやや高く、そのあたりを中心に毎年末に「歳の市」と近隣の繊維問屋街の「大出庫市」が開かれます。
東日本橋二丁目は旧町名が日本橋両国で、江戸期の両国橋西詰は両国広小路と呼ばれ、江戸随一の繁華街だったそうですが、今は都心の一角を占める位置にありながらひっそりとしています。馬喰町、横山町の繊維問屋街の延長上ですが、問屋の衰退により都心居住型のマンションや中小オフィス等も増えているようです。店舗はそれらにサービスする飲食系が比較的多いと見えます。
台東区との境をなす神田川には多くの屋形船が繋留され、川に架かる柳橋とともに江戸の風情を感じさせます。かつては花街だった柳橋にも隣接する薬研堀界隈は落語にもよく登場しますね。また、ここは七味唐辛子の発祥の地でもあるそうで、両国橋近くには小さな唐辛子店があります。
商店街としての賑わいは乏しいですが、江戸紫の街路灯もつき、歴史を辿りながら散策するには良いところと言えるでしょう。地区内には、雑然としたビルの谷間から正面にスカイツリーを眺められる街路もあり、また、両国橋の袂から隅田川越しにみるスカイツリーも絵になります。
・なつかし度 ★★☆☆☆
・ぬくもり度 ★☆☆☆☆
・ひょうきん度 ★★★☆☆
・ふだん着度 ★☆☆☆☆
・ローカル度 ★★★☆☆
薬研堀不動院前の通り
ビルに挟まれたような薬研堀不動院
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